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非上場株式(自社株)の評価方法をわかりやすく解説|原則的評価と配当還元方式の分かれ目

7 日前
読了時間: 5分

非上場株式の評価額は、同じ会社の同じ1株でも、誰が取得するかによって数倍から数十倍変わります。経営者一族が相続する株式と、従業員が持つ少数株式とでは、使う計算方法そのものが違うためです。

この記事では、相続税・贈与税の計算に使う「財産評価基本通達」に沿って、評価方法が決まる順番を追いながら説明します。事業承継や相続の準備で「うちの株はいくらになるのか」を最初に確かめたい方を想定しています。

※本記事は2026年10月時点の法令・通達に基づいています。

最初に決まるのは「取得する人の立場」

評価の出発点は、株式を取得した人が会社の支配に関わる立場にあるかどうかです。

同族株主(株主1人とその親族などのグループで議決権の30%以上を持つ株主。50%超を持つグループがあれば、そのグループだけ)が取得した場合は、会社の利益や資産を反映した原則的評価方式で評価します。

一方、同族株主以外の株主が取得した場合は、受け取る配当だけをもとにした特例的評価方式(配当還元方式)を使います。支配権のない株主にとって株式の価値は配当にほぼ限られる、という考え方です。

同族株主であっても、取得後の議決権割合が5%未満で、役員でもなく、ほかに「中心的な同族株主」がいて自身はそれに当たらない場合などは、配当還元方式になることがあります。判定は親族関係と議決権の数で細かく分かれるため、株主名簿をもとに一人ずつ確認する必要があります。

原則的評価は会社規模で計算式が変わる

原則的評価方式では、会社を「大会社」「中会社(大・中・小)」「小会社」に区分します。区分の基準は、従業員数、総資産価額(帳簿価額)、直前期1年間の取引金額の3つで、業種ごとに金額の線が引かれています。従業員が70人以上なら、業種を問わず大会社です。

区分ごとの計算方法は次のとおりです。

会社規模

評価方法

大会社

類似業種比準価額(純資産価額のほうが低ければ純資産価額)

中会社

類似業種比準価額×L+純資産価額×(1−L)。Lは0.90/0.75/0.60

小会社

純資産価額、または類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5の低いほう

会社が大きいほど上場企業との比較(類似業種比準価額)の比重が高くなり、小さいほど会社の財産(純資産価額)の比重が高くなります。

類似業種比準価額は「上場同業他社との比較」

類似業種比準価額は、国税庁が業種ごとに公表している上場企業の平均株価をもとに、自社の配当・利益・純資産の3つの要素を同業平均と比べて算出します。3要素は同じ重みで平均し、最後に会社規模に応じた斟酌率(大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5)を掛けます。

利益が大きく出た翌年は評価額が上がり、退職金の支給などで利益が落ちた翌年は下がります。株式を贈与するタイミングを決めるうえで、最も動かしやすいのがこの要素です。

純資産価額は「会社の財産を相続税評価で洗い直した値」

純資産価額は、会社の資産と負債を相続税評価額に置き換えて計算します。土地は路線価、上場株式は時価で評価し直すため、含み益の大きい会社ほど高くなります。

含み益(評価差額)からは法人税等相当額として37%を差し引けます。ただし、課税時期前3年以内に取得した土地・建物は、路線価ではなく通常の取引価額で評価します。評価直前に不動産を買って評価額を下げる、という対策は通用しません。

なお、令和8年度税制改正で、取得後5年以内の貸付用不動産などの評価方法が見直されました。2027年1月1日以後の相続・贈与から適用されます。会社が賃貸不動産を持っている場合は、株価への影響も含めて個別に確認することをおすすめします。

配当還元方式は配当額だけで決まる

配当還元方式の計算は単純です。直前2期の平均配当額を10%の利率で還元し、資本金等の額で調整します。

1株あたりの評価額=(年配当金額÷10%)×(1株あたりの資本金等の額÷50円)

年配当金額が1株(50円換算)あたり2円50銭未満、または無配の場合は、2円50銭として計算します。そのため、配当をしていない会社の少数株式は、原則的評価額よりかなり低くなるのが普通です。

原則どおりに計算できない「特定の評価会社」

次のような会社は、類似業種との比較が実態に合わないため、原則として純資産価額で評価します。

  • 総資産に占める株式等の割合が50%以上の会社(株式等保有特定会社)

  • 総資産に占める土地等の割合が一定以上の会社(土地保有特定会社)

  • 開業後3年未満の会社、配当・利益・純資産のうち2要素以上がゼロの会社

  • 休業中・清算中の会社

持株会社や資産管理会社はこれに当たることが多く、思ったより評価額が高く出る原因になります。

評価額が高くなりやすい会社の特徴

実務でよく見るのは、次のような会社です。

  1. 創業から長く、利益を内部留保として積み上げてきた会社

  2. 昔に取得した土地や有価証券に大きな含み益がある会社

  3. 直近数年で利益が大きく伸びている会社

  4. 子会社株式を多く保有する持株会社

こうした会社では、相続が起きてから評価して、納税資金が足りないと気づくケースが少なくありません。評価額は毎期変わるため、事業承継を考え始めた段階で一度試算し、どの要素が評価額を押し上げているかを把握しておくと、贈与の時期や方法を選びやすくなります。

よくある質問

Q. M&Aで売却するときの株価も同じ方法で計算しますか。

A. いいえ。第三者との売買価格は、DCF法や類似会社比較法などで交渉して決めるのが一般的で、相続税の評価額とは別物です。ただし、親族や役員との売買では税務上の「時価」が問題になるため、所得税・法人税の取扱いに沿った評価が必要です。

Q. 自分で計算することはできますか。

A. 国税庁の明細書の様式で計算はできます。ただ、同族株主の判定、会社規模の区分、類似業種の選択、土地の評価など判断が必要な箇所が多く、どれか1つ誤るだけで評価額が大きく変わります。少なくとも一度は専門家の試算と照らし合わせることをおすすめします。

税理士法人agileの非上場株式評価

税理士法人agileは、大手監査法人・FASで企業価値評価に携わってきた公認会計士・税理士が代表を務めています。相続税・贈与税のための自社株評価から、事業承継の設計、M&Aにおける株式価値評価まで一貫して対応しています。

「まず自社株がいくらになるか知りたい」というご相談からお受けしています。

 
 
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